いつも本当のことが言えなくて気がついたら時間ばかりが過ぎていて僕は年をとって手の中にあったものはこぼれ落ちてしまった。持ってるつもりだったのに。
何かを手に入れるときは実感があって、なくなるときは実感がないものだから、いつも勘違いしてしまうよ。モノを手に入れないと気が済まなくて、手に残ったのは望んだものだっただろうか。
そこに大きな決断があって、強く願うことがあって、どこにもあった渇望が動かしていると知っている。その場にならないと分からないことが多くて、もう取り返しのつかないことが多くて、過ぎ去ってしまったとに僕は後ろを振り向いて形を確かめる。こんなものが欲しいはずじゃなかったんだ。
いつも捨ててしまいたいと思っていたものは大切なものだったろうか。手に入れたものは大切なものだったろうか。
僕の手は全てを持つには小さすぎて、でもまだ動いてしまうものだから、願うことをやめられないんだよ。