物語に触れた時、ぷかぷかしてしまう。
そのままじゃいられなくなって、続きが読めなくなって、続きが見られなくなって、端っこの方で一呼吸ついてしまう。
ついさっきまで、悲しいことでいっぱいだったのに、それは五分だけかもしれないけれど、一息ついてしまう。
そして一息つき終わると、次の物語を探してしまう。
だから物語はやめられないのだ。
物語にはすべてが詰まっている。すべてのことは物語へと昇華されてしまう。
どんなことも、それは物語なのだ。
過去のことはもちろん物語。そこに現実はない。全てについてバイアスがかかる。
現在だって物語。観測者に神がいないから。
救いようのないことには、代替品が必要で、全ての代替品となりうるのが物語なんじゃないかと思う。