迎撃だ。迎撃しなければならない。
自分の今と昔を振り返り、いつも憂鬱になるのはなぜなのか。それは取り返しがつかないと思っているからなのだ。取り返しがつかない。失った時間は取り戻せない。一からやり直すなんて不可能だ。リセットはできない。完璧主義者でも間違えたことはもう世界にログとして残っている。
自分の存在自体がもう世界にログとして残ってしまっているんだ。
自分自身が価値として感じていないことでも、世界は価値なんて関係なくログとして残していく。これが時間という概念。自分の考えがどんどんとログとして残っていく。記憶は消えていく。想いは曲がっていく。しかし証拠もないのに過ごした分だけ時間が過ぎていく。取られたログはふとした瞬間にバイアスがかけられて思い出される。あるいは誰かに指摘される。あるいは誰かがほんの少しでも影響を受ける。自分の無意識にも影響はあるのだろう。
どうすればよかったとか思えるうちはまだ良いのではないか。取り返しもつかなくてどうしようもないと思ってしまうことがほとんどで、世界には希望が必要なんじゃないか。後悔はさきに立たないが、きちんと具体的に後悔できることは希望なのではないか。
人生も終わりに近づいている。まともに身体が動く時期は終わってしまう。そんなことが意識される年齢になってしまった。終わりのための準備を始めなければならない。終わりよければすべてが良いのだ。今までの積み上げてきた失敗のキャリアも肯定できるような終わりを作ることが出来れば、すべて許すことができる。
なんてね、ぜっぶ嘘っぱちさ。あなただけがすべてなのさ。私だけが世界なのさ。
それもね、嘘っぱちさ。
明日には、全てを忘れてしまうのさ。
