その当時、
好きな女の子にかける言葉として妥当だったのかはわからないけれど、泣いているその子にかけた言葉がある。そのときの言葉にそう自分なんだろうかと、ふと思った。
後日、その子に「そういえばあのとき俺はこんなこと言ったね」と言ったとき、「そうだったっけ」という反応で、なかなか落ち込んだことがある。
僕にとって、泣いている彼女を元気にしたその出来事は彼女にとって特別な自分になれた気さえした。
けれど、彼女にとって、そういう何か一言で泣いてしまったり元気が出たりなんてことは、僕だけでなく他の人にもしてもらっていて、僕が特別であることはなかったのかもしれない。そのとき元気が出たとしてもいちいち記憶に言葉が残ることも少ないのかもしれない。
そのときその人を元気づけられたことは間違っていたなんて思わないし、たとえ記憶になんて残らなくても言葉の力で元気づけられたんだって、信じてる。
僕はまだ言葉を追うよ。